
雪の魚
冬を代表する魚のひとつに鱈という魚がいます。
漢字から読み取れるように魚偏に雪と書いて鱈。
まさに冬の旬の魚です。
「鱈」の表記は、「肉の色が雪のように白いから」とか「雪が降り始めるころから旬となり、それにあわせて鱈漁が始まるから」と言われています。
一般的に、単に鱈という場合は真鱈を指します。
鱈科の一族には、真鱈のほかに介党鱈と粉馬以(こまい)の二種がいます。
真鱈は体調1メートルほどで、塩焼きや味噌焼き、「鱈ちり」などの鍋物のほか、刺身で食べてもおいしい優れた食材で、ビタミンAやDが豊富に含まれる肝臓は珍味とされています。
また、胆嚢は消化薬、浮袋はにわかの原料になるなど、人間にとって大変有用な魚です。
ちなみに隣の朝鮮では、介党鱈のことを明太と呼んでいます。
明太子とは、「鱈の子」と同様、「明太の子」という意味で、これに辛子で味付けしたものが「辛子明太子」いうわけです。
腹いっぱい食べた時、「たらふく食った」と表現しますが、この「たらふく」は、漢字では「鱈の腹」と書きます。
ただし、これは当て字で、本来は、腹が「足りて脹(ふく)れる」という言葉が変化し、「足ら脹(たらふく)」となったのです。
もっとも、鱈は実際に大食漢で、ときには自分の体重の三分の二ほどもある魚を食べることもあります。
しかも雑食性で、あまり餌の選り好みをせず、魚や海老はいうまでもなく、巻貝やイソギンチャクなども餌にしまいます。
食欲もさることながら、性欲も凄まじく、マダラは一生に十回ほど産卵し、一度に生む数は二百~五百万粒と言われています。
鱈はダイエット食に適している
鱈は白身魚の中でも脂質が少なくヘルシーで高タンパクのうえ、百二十グラムの鱈のカロリー九十二キロカロリーのうち脂肪のカロリーは約二キロカロリーと低いです。
栄養素
鱈は高タンパクで低脂肪、低カロリーな白身魚で、ビタミンA、D、E、パントテン酸、亜鉛、グルタチオンを豊富に含んでいます。
健康や美容への効果
- 淡白な味で癖がないため疲れた胃に優しく、離乳食、介護食にも最適です。
- ビタミンAは皮膚や粘膜の働きがあるので、風邪や冬の乾燥からお肌を守ります。
- ビタミンDはカルシウムの吸収を高める働きがあり、骨粗しょう症や虫歯を防ぐ働きがあります。
特に白子に多く含まれています。 - たらこのパントテン酸は肌や髪を保つ働き、また亜鉛を多く含みますので不妊症に効果があります。
- アミノ酸の一種グルタチオンは、ポリフェノールやカテキンより強い抗酸化作用や解毒作用、肝機能強化などの効果があります。
鱈の選び方
- 目が黒々と透きとおっているもの、皮が光沢のあるチョコレート色をしていて張りのあるもの、えらが鮮やかな紅色をしているものを選びます。
- 切り身は身に透明感があり、ほのかにピンクかかった弾力のあるものが鮮度の良いものです。
逆に身が白く不透明なもの、皮が白っぽいもの、アンモニア臭のするものは鮮度が落ちているので避けます。 - 白子は、透明感があって身がしっかりしているものが新鮮です。
身くずれしているものは鮮度が落ちています。
オスの方が白子があるため高価で、味も良いです。 - たらこは、べたつかず透明感のあるもの、皮が薄く身くずれしていない大きいものを選びます。
部分的な緑色をしていたり、膜がやぶれているものは鮮度が落ちているので避けます。